木酢液の主要細菌抑制能に関する結果
資料提供:奈良炭化工業(株)
木酢液(奈良炭化工業(株)製)の細菌抑制能について、主要細菌4種類を選び、
培養により、その増殖抑制試験を行いましたので、その結果の概要を表示します。
1.試剤ならびに供試細菌
木酢液(奈良炭化工業(株)製)
細菌種(第一図)
(1)Escherichia coli (大腸菌)
(2)Staplylococcus aureus (ブドウ状球菌)
(3)Pseudomonas pyocyaneum (緑膿菌)
(4)Bacillus subtilis (枯草菌)
2試験方法
供試細菌はいずれもブイヨン寒天斜面培地であらかじめ純粋培養し、そのコロニー
より1ループを1/2希釈ブイヨン液体培地に移植して、24時間振動培養し
細菌原液とした。供試木酢液は簡単な予備試験により25,50,100,200
倍(それぞれ4,2、1,0.5%)液とし、道液体培地に木酢原液を所定濃度
となるよう添加してよく攪拌し、それぞれ5mlずつを試験管に採り、細菌原液
を200μ1ずつ接種して、24時間、振動培養した。ペトリ皿にM-5寒天培地
(大腸菌に対しては選択性デオキ シコーレート寒天培地)を分注して平
面培地とし、各試験液(細菌・木酢培養液)を200μ1ずつ滴下して、アングル
棒にて均一に拡散させ、26度で48時間培養して、検出された細菌コロニー数
(第2図)を計測し、1mlあたりの細菌数に換算して比較検討した
第2図
第2図 検出された細菌コロニー(ブドウ状球菌の例)
左から無添加、木酢200、100、50培養液区
3試験結果
検出されたペトリ皿上のコロニー数を顕微鏡を用いて計算し、試験培養後の培地
1ml当たりの細菌数として換算して、試験結果を次のようにまとめた。
(第1表)
第1表、木酢希釈液における増殖細菌数
細 菌 細菌数(1ml当たり)×10の5乗
希釈倍率 25 50 100 200 0
濃度(%) 4 2 1 0.5
大腸菌 試験1 0 0.24 1.18 6.65 112.12
2 0 0.10 2.00 5.65 115.03
ブドウ状球菌 1 0.08 0.1 3.51 147.50
2 0.92 7.70 98.06
緑膿菌 1 0.02 1.64 67.53
2 0.13 1.93 101.22
枯草菌 1 0.16 19.06
2 0.004 0.97 48.76
4.まとめ
第2表 木酢液の希釈と細菌抑制効果
細菌 希釈倍率 25 50 100 200 0
濃度(%) 4 2 1 0.5
大腸菌 +++ ± ー ー
ブドウ状球菌 +++ ± ー ー
緑膿菌 +++ +++ ± ー
枯草菌 +++ +++ ++ ー
+++:抑制非常に強し、 ++:抑制強し、 +:抑制あり、
±:抑制ほとんどなし、 ー:抑制なし
(1)大腸菌
25倍(4%)液以上で完全に抑制される。50倍(2%)液では培地のにごりは
ほとんど感じられないが、生菌が検出され、抑制破風十分と判断される。
(2)ブドウ状球菌
25倍(4%)液以上で完全に抑制されが、50倍液ではごくわずかながら
検出される。抑制能は大腸菌とほぼ同じ程度であろう
(3)緑膿菌
25・50倍液では完全に抑制される、100倍液ではごくわずか生菌が検出さ
れるので、有効限界がこのあたりにあると考えられる。200倍液以下となると
抑制はみとめられない
(4)枯草菌
25・50倍液では完全に抑制される、100倍液でも抑制はほぼ完全と見なし
てよい200倍液でもなお抑制力がかなり認められる。