<千本づきの由来>

 花供会式に先だつ4月10日には、女性の行者さんによる女人大護摩供が修され、 またたくさんの杵で餅をつく「千本づき」が蔵王堂境内にて催されます。 この「千本づき」は、平安の昔、後白河天皇の后宮(一説には桓武天皇)がご病気 となり、いかなる療法も効を奏さなかったので、金峯山の名僧高算上人がお召しを受 け祈祷したところ、たちまちに難病が全癒しました。そしてそのお礼に望む物を与え ると仰せられたので、上人は「金峯山は毎年蔵王権現に桜花をお供えする儀式を行っ ていますが、相当費用もかかりますので、願わくば諸国の人たちから一畝一穂の寄進 をうけるようお許しを得たい」と申し上げ、その勅許を賜ることができたのです。こ うして集まったお米を花供会式にあわせ「千本づき」で餅につき、本尊にお供えした のち参拝者や、近郷の貧しい人々に施与したのであります。  現在もこの「千本づき」でついた餅は山内諸尊に供えられるとともに、参詣の人々 に撒かれています。この餅を食べるとその年は無病息災で過ごせると信じられ、集ま った信徒や観光客に大変よろこばれています。